大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京地方裁判所 昭和44年(借チ)1043号 決定

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔決定理由〕

一、申立の要旨

申立人は相手方から東京都足立区千住大川町七番五宅地512.38平方米のうち34.71平方米(10.5坪)を昭和四一年四月一日木造平家建建物所有を目的とし、増改築を制限し、期間を二〇年とする約定で賃借し、右地上に別紙記載の現存建物を所有しているが、これを同記載のとおり改築しようと計画したところ、相手方の承諾が得られないので、その承諾にかわる許可を求める、なお申立人は右借地契約成立に際し相手方にいわゆる名義書換料として、金一〇万円を支払つた。

二、相手方の意見の要旨

本件現存建物は昭和初期に建築されたもので、申立人に本件土地を賃貸した当時、既に相当老朽し、朽廃に近かつた。申立人は前借地人から右建物を譲受け、相手方に借地権譲受の承諾を申入れてきたのであるが、その際相手方としては本件土地に隣接する土地上にある相手方の居住家屋も大正時代の建物で改築すべき時期が近く、これを改築する際は本件土地も使用する予定であつたので、右申入を一旦断つたが、建物を現状のまま使用するというので、特にこれを条件として申出に応じたのであり、期間を二〇年としたのは、前借地人の残存期間が不明であつたので、やむを得ず、法定の最短期間としたのであるが、相手方としては現存建物が近く朽廃すれば返地してもらえるものと期待していたので、本件改築により、その期待が裏切られるのは全く心外というほかはない。

三、鑑定委員会の意見の要旨

本件改築を認めるのが相当であり、その場合財産上の給付額としては更地価格(坪あたり一一万円)の五%にあたる五万七、七五〇円が相当である。地代増額の必要はない。

四、当裁判所の判断

本件改築は土地の通常の利用上相当と認められ、また相手方の前記主張を考慮しても、約定の残存期間が一六年以上もある本件においては改築を不当とすることはできず、他に本件改築を不当とすべき点はないと認められるので、これを許可することとし、財産上の給付額については鑑定委員会の意見を相当と認める。

(白石悦穂)

現存建物および改築の内容

一、現存建物

木造亜鉛メッキ鋼板葺平家建居宅

34.71平方米

二、改築の内容

右建物をとりこわし、木造モルタル塗瓦葺二階建居宅床面積適法なはんい内のものを新築する。          以上。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!